小児てんかんについて 

〜“その日”は突然やってきた〜

「てんかんママ・パパみんなの掲示板」設置にあたって(一度は読んでね) | てんかんの分類

まさか! ウソでしょ? うちの子に限って・・・

 長女がまもなく小学校に上がるという頃のこと。私の職場に、娘が通う保育園から電話がかかってきました。保育園からの電話ほどフキツなモノはありません。たいてい「○○ちゃんがお熱なのでお迎えに来てください」なんだから。ところが、この日はちょっと状況が違ったのです。

 なんと、長女が午睡中にけいれんを起こした、というではありませんか! たまたま長女の隣に寝ていた子に添い寝していた保母さんが気づいたそうです。保母さんの背中側で、小刻みに震える長女に・・・

 電話口で話を聞くと、熱はないとのこと。1分程度けいれんが続いて、治まった後は眠ってしまったので、そのまま様子を見ますか? と言われましたが、熱がないのにけいれん起こすなんて(赤ん坊の時に熱性けいれんは経験しているが)普通じゃないかも! 今まで病気らしい病気なんてしたことのない長女。風邪ひいてもすぐに回復する体力のある子です。見た目にもガッチリした体型、見るからに“健康優良児”という表現がぴったりの子です。それなのに一体どうしちゃったの?

 私は職場の人に「長女がけいれん起こしたので、休暇いただきます!」と言い残し、保育園に駆けつけました。その時長女は眠っていましたが「病院行くよっ!」とたたき起こし(発作で消耗していたに違いないのに)、「どんな感じだった?」と根掘り葉掘り聞いてしまいました。本人は「寝てるとき毛布がめくれたので掛けようとしたら、急に目の前がグラグラ揺れて、気がついたら、しーせんせい(長女の異常に最初に気づいた保母さん)に『どうしたの?』と声を掛けられた」と言っていました。ちゃんと受け答えはできるようだし、大丈夫かな。でもまず病院に行ってみよう。

 ところが。私のかかりつけの病院の小児科に連れて行ったものの、さっぱり要領を得ないのですよ、医者が。てんかんの知識がないんです。「念のため脳波取っといたほうがいいでしょう。でも発作の後4週間以上経たないとダメなんだよな。4週間後に検査の予約してください」とそっけない(←本当は、発作の直後でもそれなりの脳波の読み方というものがあるらしい)。

 前いた女医さんはもっと親切だったよなぁ〜、いつも働く母親の味方だったよなぁ〜、なぁんて昔を懐かしんでみたりする・・・。どうもこの医者、前から合わないと思ってはいたのよねぇ。でも、他に情報もないので、今はこの医者に頼るしかありません。4週間後に検査の予約を入れました。

 そして4週間後の検査の日。その間、予防的に薬を飲むなどの治療は一切していなかったのですが、まったく発作もなく過ぎました。でも、結果はどう出るんだろう? やはり親としては心配。子供の病気は自分の病気以上につらいものがあります。

 私の心配をよそに長女はやけにうれしそうなんですけど? 頭に電極が付けられていくと「わ〜い♪なんかサイボーグにされるみた〜い♪」まさに親の心子知らず。その後もマイペースな長女は「えーとねー、ここからミサイルが出て・・・」とすっかりサイボーグになりきっている様子。ぶはっ! 不覚にも吹き出してしまったよ。・・・とにかく、本人は嫌がるどころか楽しんで検査を受けたので、スムーズに終わったのではないかと思います(それでも2時間以上かかりました)。深呼吸させたり光刺激を与えたり、いろいろ負荷をかけながらの検査で、本人も疲れたのではないかと思うのですが・・・。

 さて、私はてっきりその場で結果が出るものだと思っていました。ところが、てんかんの知識のない医者、「脳波が読めない」と抜かしやがった! それでどうするかというと、専門医の所に脳波の記録紙を送り、もし異常が認められた場合は治療についての指示を仰ぐということだそうです。当然私は不信感のカタマリ。病院変えようか・・・とも思いましたが、その専門医は自宅から遠すぎたのです。ああ、子供のために情報がほしい。情報収集って重要だなぁ・・・と痛感しました。

 結果は「睡眠時に脳の右側、光刺激で脳の全体からてんかん特有の波が出ている」ということで、まず「テグレトール」(成分名:カルバマゼピン)という薬を試すよう指示を受けたとのこと。そんなこんなで、晴れて(?)「てんかん」と診断がついて治療を開始したのは、発作の日からなんと2ヶ月も後のことでした。

病院ジプシー

 「この医者、ダメだ!」と思いつつも、他に心当たりもなく、転院するにもできずに悩んでいた(たとえウデは確かでも相性ってモノもあるし)そんな時。指示を仰いだ専門医の所から「特に脳の右側から顕著にてんかん波が出ているので、念のため脳のMRIを撮ったほうが良い」との連絡がありました。でも、なにしろそこは遠い。ほとんど「仙台縦断の旅」と言っていいほどでした。しかし、子供のためなら頑張れるのが母親です。年度末の忙しい時期でしたが休暇を取り、みぞれ混じりの冷たい雨が降る中、走り慣れない道を、車を運転して連れて行きました。

 何とか無事に病院にたどり着くと、待合室はこみあっていました。予約をしていなかったらどれだけ待たされたか・・・。それだけ、ウデがいいんでしょうね。でも、いくらウデがよくても・・・と人見知りの激しい私は身構えてしまうのでした。

 ところが、名前を呼ばれて診察室に入ると、開口一番「お母さん、心配だったでしょう〜。でも、大丈夫ですよ。この波形を見る限り重症じゃありませんから。おそらく、良性の部分てんかんでしょう」とのこと。あぁ〜、いい先生で良かった。そして、カルテの住所を見て「な〜んだ、すぐ近くにいい先生がいるじゃないですか! 紹介しますよ」と言うではありませんか! その当時は、この地に引っ越してきて1年足らずの時であり、しかも日中、街中で働いている私は、自分が住んでいる地域のどこに何があるのかを把握していなかったのです。あぁ、『灯台下暗し』とはこのことだ。私は一体何をやっていたのだろう? 目の前がパァ〜ッと開けたような気がしました。

 検査もスムーズに終わり(「おりこうにしてたからとてもきれいに撮れましたよ」とお褒めの言葉もいただきました)、MRIはまったく異常なし。私も検査室の中まで付き添ったのですが、そこは「金属類持込み厳禁」の空間であります。で、私も腕の痛みと痺れがひどくて「首の椎間板ヘルニア」を疑いMRIを撮ったことがあるのですが、かなり大きな音がします。そういう中で、平気でぐっすり眠っていた長女・・・何のことはない、「おりこうにしてたからきれいに撮れた」のではなく、「眠りこけていたからきれいに撮れた」だったのでした。本人いわく「あ〜、気持ちよかった〜!」あっそう、そりゃあよかったね(苦笑)。

 その後も「この医者、ダメだ!」の所に通っていたのですが、予防接種の受けさせ方でもめたのをきっかけに転院。長女だけでなく二女・三女も一緒に転院(当然よ!)。

 自宅から徒歩5分足らずの所にてんかんの専門医がいた! というのは非常に幸運でした。その先生は、時間をかけて丁寧に説明してくださり、「思春期くらいになれば自然に落ち着きますよ」と。良性の小児てんかんの一種であり、睡眠時しか発作は起きない、だから学校の授業に差し支えることはなく、大人になれば治ってしまうものだということでした。でも、発作を頻繁に起こすようになるとそれによるダメージが大きいので、発作を起こさないために予防的に薬は飲み続けなければなりません。毎月、尿検査と血液検査で、副作用が出ていないかのチェック(前の病院はそんなことしてくれなかった)をしていただいています。ちょっと遠回りをしましたが、そういう経過を経て、今、最少の薬の量で最大の効果を上げるような治療をしていただいております。ありがたいことです。

メール相談

 その当時、私はパニック障害を患いナーバスになっていました。今思えば大したことでもないことが妙に気になり、一人で不安を増大させ、「長女がてんかんになったのは熱性けいれんの時に私が適切な処置をしなかったからに違いない」「つわりがひどすぎて妊娠中にいろんな薬を使ったからこんなことに・・・」などと自分を責める日々でした。夜中に目が覚めると、長女が発作を起こしていないか確かめる。そして、その後眠れなくなり、いろいろと考え事をして、また自分を責めて、朝は体調最悪・・・。

 一人で悩んで同道巡りをしてもどうしようもないのに、その時は冷静に考えることができませんでした。真夜中なのに、もう居ても立ってもいられない状態になり、Eメールで相談できたらどんなにいいだろう、時間なんか関係なしに悩みを文章にして送れるのに・・・と思いました。返事なんてすぐもらえなくていい、とにかくこの不安な気持ちをキーボードに叩きつけたかった・・・

 とにかく情報を得たくてWeb上をさまよっていた時に、見つけたんです! 「みちのくてんかん治療ネットワーク」のサイトを。そこから、自宅から徒歩5分のY先生にメールが送れるようになっていました。私が今までの不安をキーボードに叩きつけたのは言うまでもありません。

 先生からはすぐにお返事をいただきました。「お子さんの脳波を見る限り、熱性けいれんの後遺症ということは絶対にありえません」とのこと。その一言にどんなに救われたことか。その後も、自分のくだらない相談にも乗っていただいたりしています。なんとも迷惑な親じゃ・・・。

情報収集の大切さ

 このことがあってから、私は情報収集がいかに大切かを学びました。子供を守るために親は奔走し、時には闘わなければなりません。そういうときに必要な情報がなければ、不信感を抱きながらも現状維持(あるいは悪化)、ということになってしまいます。

 私は、自らの体験を広く世の中に発信したい、困っているお母さん(お父さんがいてもいいよね)を助けたい、と思うようになりました。そんな折、都合よく(と言ったら不謹慎ですが)同じ保育園のママから、お子さんがてんかんと診断されてしまって、どうしたらよいか、という相談を受けました。それが、このHPを作る原動力のひとつになったと思っています。

 てんかんはごくありふれた病気なのに、いまだに誤解や偏見が根強いようです(幸いなことに、長女は学校でも特別扱いされることなく、まったくの健康な子供として生活していますが)。そして治療には年単位の長い期間を要し、当然、医療費も多くかかります。そこで、我が家は公費負担制度を利用しています。正確には『精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第32条に基づく通院医療費公費負担』といいます。てんかんが『精神障害』として扱われていることについては納得がいかないのですが、それは私自身の中にある精神病に対する偏見のためなのでしょうか・・・? 自分も精神を患っているのに。おかしいですよね。

 自分自身も、頭の中、改革しなきゃね。今、私も一緒に32条の恩恵を受けています。毎月の薬代だってバカにならないですからね。

 私のおすすめの本(リンクなし画像のみ) 

「ひきつけ・けいれんは小児てんかんを疑え」

金澤 治 著  講談社  1,300円
私のような素人にも分かりやすい本でした。おすすめ!

※「1999年11月10日 第1刷発行」とのことで
 この本の在庫はなくなりましたが、なんと!

 


「新版 ひきつけ・けいれんは小児てんかんを疑え」

加筆訂正された「新版」として、新たに発売されました!
 2005年10月10日 第1刷発行
 発行所 株式会社 講談社
 ISBN4-06-259265-7
 1,300円(税別)

情報をいただいた、どんくん様、ありがとうございました。


Amazonから買えます!著者・分野が偏らないように選んでみました。
   

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